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2024年 11月


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2024年 12月

検証実験
「差圧ダンパーの取付位置によって異物の数は変わる！？」

どこのクリーンルームにも必ずといっていいほど取付けられている差圧ダンパー。クリーンルーム内の上部に設置されているところをよく見かけます。しかし、そもそも設置位置は上部で問題ないのでしょうか？役割を果たしているのでしょうか？そこで、「差圧ダンパーを取付ける位置によって変わる効果」について検証を行い、正しい設置位置を検証しました。
実験目的差圧ダンパーの取付け位置によってかわる効果を検証し、正しい差圧ダンパーの位置を確かめる、併せて弊社クリーンルームに取り付けているＣＳバルーンの有無の状態でも上下で確認を行う。
実験方法１）ちょいだしダンパーをクリーンルーム内の上部・下部２箇所に設置する。　（上部：FL1800mm/下部：FL200mm）２）実験者がクリーンウエアを着用せず一般着にて、床の粘着ローラー掛けを１０分間連続して行い、クリーンルーム内を意図的に発塵させる。３）床の粘着ローラー掛けを行っている間、２種類のパーティクルカウンター（微粒子測定・粗大粒子測定）を使用して連続１０分間計測する。	実験の様子
実験条件クリーンルームサイズ：床面積２８㎡/高さ２．１ｍ温度：２５．０℃ 湿度：５０．０％室圧：１０　Ｐａ ※クリーンルーム内のＦＦＵ吹出口にはＣＳバルーンを取付けた状態	CSバルーン
使用機器・ちょいだしダンパー（差圧ダンパー）型式：ＣＳＰＤ-００１　※シーズシー製・ＣＳバルーン・パーティクルカウンタ：ＫＣ－３１（微粒子）　　　　　　　　　　　　ＫＣ－２０Ａ(粗大粒子）※リオン製実験結果測定結果は下記の通り。０．３～５μｍの微粒子はダンパーの位置で大きな差はみられなかった。一方１０～１００μｍの粗大粒子は下部ダンパーの方が多く測定された。 ▼グラフ　０．５μｍ～５μ以上の浮遊粒子の数の動き ▼グラフ　３０μｍ～１００μｍの粗大粒子の数の動き

考察
今回の試験では主として、ダンパーの取付位置による粒子がどのダンパー位置から、どのように排気されるのか？を確認する予定でしたが、予想外にＣＳバルーンの有無でも大きな相違が生じました。
まず上下での大きな相違は、ＣＳバルーン有り時の粗大粒子の排出量です。この事由は、推測するにＣＳバルーン付きによりルーム内の乱流が低減されたことで、比重のある粗大粒子が、上部ダンパーまでたどり着かずに排出量が少なかったことが考えられます。このことから、ＣＳバルーンなどで層流性を上げた時に粗大粒子を排出させたい場合、差圧ダンパーを下部に取り付ける事が有効であることが判ります。

予想外の動きだったのが、微粒子のＣＳバルーン有無の場合です。
浮遊粒子であることを考えると、ダンパーの上下での相関が取れないのは判ります。しかしながら、ＣＳバルーンを付けると一定の割合で安定して排気されるはずですがこの場合、内部で人の動きに合わせて突発的に発塵することで、多少のずれが生じてもいいと考えます。しかし、ほとんど一定推移で排気されたことが判明しました。現段階で推測されることは、ＣＳバルーンが付いている場合は堆積塵埃が舞上らない特性から考えると、床からの舞上りなども大きく関係していることが推測されます。今回の実験では、不完全燃焼の内容でもあることから次回以降のメルマガで再度１分間発塵させて、その後の推移を見る実験を行い改めてご報告致します。

今回の結果からはっきりしたことは、パーティクルカウンターで０．５μｍを管理しているクリーンルームでは、差圧ダンパーの取付け位置を上・下どちらに設置しても良いことになります。しかし、粗大粒子が不良要因で粗大粒子を管理しているクリーンルームでは下部に取り付ける事の有効性が判りました。【浮遊もするが沈殿もする】粗大粒子は強敵です。

今回の実験で使用した「ちょい出しダンパー」ですが、使用シーンとしてはクリーンルーム内、隅の空気の淀み（空気に流れが無い箇所）などに使用できるよう製作致しました。クリーンルーム内の空気の淀みは堆積塵埃が発生し、更に歩行等で再浮遊するリスクが生じます。従って、室内差圧に影響がない範囲で≪ちょっとだけ気流を作る≫ことで周囲に流れが生じ、淀みが解消される効果を狙っております。また、前室などではクリーンロッカーの背面下部に取り付ける事で発塵しても最短で外へ排出することができ、前室全体に飛散することを防止します。